AMABIKI VL

秋晴れの日曜日、アトリエの側の雨引山に散歩に行った。
今年の紅葉は、朝夕の冷え込みが緩やかな分、鮮やかさを欠いてはいるものの、辺り一面は秋色に染まっていて快晴の日差しの下では眩しいのだ。
木々越しに大和村が見渡せる所に出て、思わず写真を撮った。関東平野の東端にあるノンビリとした里山の風景である。

私が未だ学生の頃、東京から北には鬼が住むと思っていた。極端な話、西から来た人間は、東のテリトリーに自分が移り住む事なんて、とても考えられなかったのだ。それがひょんな事で永住してしまった。西と東、風土とメンタリティーは微妙に違う。その微妙さが各地の文化を多様化し、日本全体としての地勢と人とを作っている。
私が東に移り住んで早25年、ともすると画一化されて行く大都市近郊の風景の中で、この地の美しい風土を保ち残して行かなくちゃならないと、嘗て西の地から来た者が思っている。

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