梅雨明けの近い7月夕方、第三工場の東にある山の峰から雲の集団が雪崩れているのを見た。峰から大量に溢れた雲が、崩落する雪塊のように、上から上から雪崩れ落ちてくる。裾野にある集落に圧し迫る大蛇の文様のような雲は、山の中腹まで押し寄せた辺りで幻のように儚く消えてしまうのだ。 湿気を大量に含んだ東風が、加波山系の峰を超す時に分厚い雲になり、その雲が西に広がる関東平野の端っこに雪崩れてくる特有の風景だ。この雲雪崩れ現象が山並みに沿って伸び広がる時は、筑波・加波山系を縦走して延々20〜30kmにもなることがある。