ススキや雑草が被い尽くした嘗ての農地に、大きな立方体の箱を見つけた。中に何が納めてあるのか?という興味よりも、この箱自体の存在感が気になった。鉄パイプのフレームにL字鋼の補強材とトタンの浪板張り、表面は錆びが進行しているが軋んではいないし凹んでもいないし傾いてもいない。野原にあって自立した箱としての威厳と歴史を辺りに漂わせているのだ。これって・・・彫刻そのものじゃない? この箱を、都市の整備された公園に持って行っても、高層ビルのエントランス空間に設置しても、海岸の波打ち際に凜と立っていても箱としての存在感は成立する。彫刻タイトル「時空への出口」 "an exit for the time" なのだ。