風景は秋色になってきた。稲刈りの後にまた芽が伸び始めた田圃、稲穂が頭を垂れすぎて重なり合っている田圃、畦道の草は未だ緑が残って田圃を縁取っている。そんな中を一本の道が帯締めのように遠景と近景を繋いでいる。その道に沿うように電信柱が立ち並び、電線が秋の日を受けて掠れ筆のような光を放っている。まるで昭和の映像を見ているようだ。秋の電線はノスタルジックで物悲しい。