1900年代から、アートシーンでよく見かける焦点の定まらないボワーっと霞んだような絵画のイメージである。別にこのタブロー写真の作者はいない。敢えて言えば、私が家の中の風景を超ポンボケで撮っただけの写真である。最近のカメラは誰が撮ってもピントが合うようにできていて、ピンボケの写真を撮るのは簡単じゃない。ボケボケのピントでシャッターを切ろうとすると、カメラが反発してシャッターをロックするように出来ているのだ。だからカメラ側の設定を手動フォーカスにして、カメラが勝手にピントを合わせないようにする。しかもレンズの絞りを、これまた手動で最大限の解放にする。そして露出も手動で明るくしたり暗めにしたりして、これはいいと感じたところで、ガシャッとシャッターを切る。当然高機能のカメラとしては、自分の持ってる高度な機能を無視されたわけだから、密かに反発しているのが伝わってくるのだが、でもかまわない。私がご主人様だから、どんな写真を撮ろうと俺の勝手、ご主人様の意志次第なのだ。本来、道具とはそんなもんだ。オートマチックのカメラに、大ピンボケ設定があっても良いんじゃないかと思う。自動で超ピンボケ写真が撮れる設定だ。すなわち画面の色彩とトーンを楽しみながら、現代絵画風表現が可能な写真設定、そんなのもあっていいはずだよね。