筑波山系の稜線を走る道、通称スカイラインから、地平線上の風景を撮る事に凝っている。2月25日の午後、フォーサイズ・カメラ+150mm(35mm換算で、300mm)レンズで都内の方角を撮った。遠くはもやに霞み、その中にうっすらと高く突っ立っているのがスカイツリーだろう。周りには都内の高層ビル群も見て取れる。 近くに見える林や屋並は、つくば市の大穂地区である。スカイツリーまで直線距離で約65kmだが、少し高い所に上がれば、こうして簡単に眺望できるのだ。こう見ると筑波山も東京も同じレベルの地表面にあるのが分かるのだが、筑波界隈は閑散として、未だ林や田畑が広がっているのに、彼方の都会は人や車であふれ、365日ひがな右往左往してワイワイガヤガヤと活動しているわけだ。400年前に一人の君主が居を構えて以来、時空と地勢の揺らぎは局地的に増幅を続け、今となってはどうする事もできな程に膨れ上がった、人の超大な巣となっているのだ。でも、こうして遠くから眺めると、それは決して堅牢盤石な巣じゃない。地表の一部にかろうじて立ち昇った蜃気楼のようにも見える。