Scotland wing
羽根

2012年4月初旬、スコットランドは寒暖の差が激しくて、雪の日があったと思うとTシャツ一枚で散歩できるポカポカの日もある。そんなイレギュラーな時期の、ある寒い日に、Jakeの家から北西に向かって車で約3時間、彼の友人達・スコットランド・ナショナル代表経験のある4人と合流して、西海岸に流れる川(river Clyde)の上流を釣行した。
美しいブラウンが生息するという川は、未だ寒くてセーターやズボンを重ね着しないと、川に入る事すら憚られる。そしてブラウンは当然の如く、未だドライフライじゃ出て来ないのだ。
総勢6人、場所と釣り方を予め決めてから、釣行を開始した。私はスコットランドのメンバーじゃないから、最初はドライで試すも、気配すら無し。そしてダブルニンフを沈めて流してみるが、これも全く反応がない。長い荒瀬に狙いを決めて、対岸辺りから流れに乗りながら流していたら、ビーズヘッドの小さなニンフに当たりが来た。でも魚体を見ないままバラしてしまった。
みんなも釣果はなくて、それこそ個々が思い思いの方法と場所で釣る事となり、私は体格のいい集団から距離を置くように、下流に行ってめぼしい場所を流してみる事にした。

川に沿って一人で歩いていると、川と平行に走る道路の向こうに、不可思議な大きな白い物体が横たわっているのを見つけた。どうやら大型のトレーラーの荷台に積んであるらしい。トラックの頭部と比較しても、とにかく巨大な荷物である。彫刻?と一瞬思ったのだが、彫刻にしては大き過ぎる。
何だろう??、川沿いに下って行くと、それがハッキリと見て取れる角度になった。写真は望遠カメラで撮っているから大きく見えるが、実際には私と被写体は優に1キロ以上離れている。
そうか!風力発電の一枚のウイングらしいのだ。それにしても大きい。長さが40〜50メーターはある。こいつが組み上がったら、どんな大きさの風車になるんだ?? 羽根の回転直径が野球場の大きさ?
それにしても、曲がりくねった道をどうやってここまで運んできたのだろう???。

てな事を考えながら、水中に大小の石が点在して、流れに変化のあるところで、グレーリング狙いのフレンチニンフ釣りを試す。4〜5投目にグググ〜〜〜と来て、35cm前後のグレーリングを一匹釣り上げた。
私は一人にんまりと・・・、魚は深みにいる。

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