真っ白な背景の中に、色づきかけた木々の葉がシットリと朝露に濡れている。よく見ると、枝から枝に張られた蜘蛛の巣に水滴が鈴なりに付着して、誰かが忘れたネックレスの様だ。霧の中の風景を一枚一枚写真に納めながら、池の回りを散歩した。20分ほど経つと霧は徐々に薄らいできて、池の様相が見え始めた。岸から5〜6メーターの辺りから、蓮が群生している。蓮の大きな丸い葉も枯れ始めて、今は雨に打たれた外套の様だ。蓮子を頭に付けたひょろ長い茎が、うなだれた頭でっかちの群衆にも見える。霞を背景にすると、限りなく続く難民の様にも見え始めるのだ。果たして、この先に極楽浄土はあるんだろうか? 日本の行く末には・・・?