S 釣り談義

79    今年の Fishing

2010年6月River Tweed
東北大震災以来、長い間 Fly fishing から遠ざかっている。管理釣り場は別として、去年の秋から川に行っていないことになる。
3月〜5月に掛けて2回ほどイギリスに行き、約2ヶ月を過ごした。しかし個展等の絡みで、釣りに行く時間は全く持てなかった。
日本に帰ってきても、大震災と原発問題で釣行に出掛ける余裕も気力もなく、そうこうしている内に今年も半分が過ぎ、川の解禁も残り3ヶ月となってしまった。
スコットランドの友人から、放射能汚染の迫る場所にいるより、彼の家に避難して来いと言う誘いを受けた。作品制作や Fly fishing をスコットランドでする方がいいんじゃないかという誘いだが、日本男児としてはここで母国から逃げるわけにはいかない。大学の学生を放って行く訳にもいかないし・・・、何と言っても、かみさんの怒る顔が目に浮かぶ(かみさんは筑波大の准教授だから動けない)から、彼の親切な誘いを丁重に断らざるをえなかったのだ。
今年の夏、またイギリスに行かなければならなくなった。個展で出品していた作品が、パブリックと個人のコレクションに入る事になり、その作品設置のために再訪英しなければならないのだ。
次回は ロッド(9f/#5)+ラインと特製のフライを持参する。ウエーダーやネットはイギリスにキープしてあるから、日本から持って行くのは、ロッドがちょっと嵩張るくらいである。
夏の終わり(8月後半)のスコットランドは、ブラウンは少々食い渋るものの、でかいシートラウトや早めの銀ピカサーモンが入ってくる。だから4番じゃちょっとね。5番でも不安はあるけど、その分かなり楽しめる筈だ。
最低でも4〜5日間は、イギリスの川でノンビリと釣りをしたいと思いながら、密かに構想を練っている。私の短いバカンスのために。
かみさんが一緒に行くと言ったら・・・どうしよう・・・?

先日、友人の鉾田さん(日本では何時も彼と一緒に釣りに行く)と、栃木県今市の鬼怒川支流・小百川・砥川・霧降川に2回ほど行ってきた。
小百川の上流域は大きなゴロタ石が積み重なった落差の大きい渓流である。震度3〜4程度で崩落すると思える場所も何カ所かあり、そこで地震が起こると命の保証はない。流れの落ち込みは落差があって深い。さもイワナの好みそうな流れの連続である。フライにとって唯一の難点は餌釣り師に先行されると釣りにならないことだ。この日も入川出来そうな場所で車の有無を確認して入ったのだが、しばらく行くと遠くに餌釣り師が上っているのが見えた。彼らは各段のプールを餌付きの針で執拗に狙い、そして釣れた魚は尽くキープする。仮に釣れ残ったイワナが居るにしても警戒して出てこない。魚の潜んでいそうなポイントが連続する美しい渓流は、餌釣り師がやたら目ったら多いし、我々が釣り上がっている上流に平気で入り込んでくる。日本もドイツのように、国家試験を受けてライセンスを取得しなければ川釣りはできないという方向に転換した方がいいかも知れない。
後攻している我々は、彼らが見過ごしたポイントを狙うしかない。まさかここにイワナは居ないだろうと思える様な浅くて狭いポイントを狙うしかないのだ。川から這い上がれる道を見付けられるまで、彼らの後を釣り上るしかないのだが、それでも20cm前後のイワナを二人で4匹は釣ったかな。この状況では上出来である。もちろん我々は総てリリースするけど。
砥川はその名前の通り、川底一面が砥石のような岩盤で、しかもそれが白御影石と来たものだから川底全体が照明の当たったステージのように明るくて、魚の潜みそうな深みやゴロタ石が見つかりにくい。魚は確かに居るのだが、非常に警戒心が強い。所々に深いプールはあるが、やはり魚は出てこなかった。ダブルニンフを沈めれば食ってくるのかも知れない。
霧降川は、いわゆる一般的な雰囲気の渓流だ。ここも一寸上がると餌釣り師の好みそうな溪相である。
コンセプトを変えて、餌釣り師は来ないだろうと思える小百川の下流域に移動した。ロッドはsege ZXL 280-4(8f2番)に3番ラインを付けるタックルである。これが非常に扱いやすいし遠投も効く。
餌釣りには美味しそうなポイントがない下流域。そこそこの河原があって、堰が連続しているが、放流された魚が残って野生化しているの可能性はある。水は冷たくフライも飛び交い、比較的ユッタリとした流のプールや瀬もある。遠くからフライを投げてもや見え易い場所だ。両岸には葦が群生していて歩けないから川の中を上るしかない。ここにけっこうヤマメが居た。大きいモノで23〜25cm。
上っていくと、広めのプールの中程で魚がライズしているのを発見。遠くからフライを投入。なんと尺越えのニジマスだった。そこから20〜30メーター先の流れ込みに大きなライズを確認。14〜18番は無視され、20番のCDCミッチでやっと食ってきた。遠方に黄色がかった胴体を見てロッドにテンションが掛かった瞬間、ラインブレーク。その後2回ほどヒットしたのだが、何れもティペットを容易く切れられしまったのだ。ティペットを5Xにして30~40cmのニジマスはしっかりネットに入れたけど、最早最初のモンスターは出てこなかった。(魚の写真はない。釣った魚はストレス無く速やかに川に返すことを考えているので、悠長に記念写真を撮ることはないからだ。)
近郊の渓流とフライフィッシングは、先行者が居ないことが第一条件になる。餌釣り師が見逃した、もしくは見逃す場所を攻めることが何よりも重要になって来るのである。どんなに川が良くても、餌屋さんが出入りしている場所(さも魚が居そうな場所)では、魚が居なくなってしまうのだ。餌屋さんがポイントを定められない場所、たとえライズを確信しても彼らの竿では届かないし、そこまで行く方法のない場所。
もちろん遠く離れた山奥の渓流に行けば話は違ってくるのだろうが、そこまで行く時間も金もない我々にとっては、手頃な川が重要なのだ。今回は、ユッタリした川面で、ここにはというポイントのないノンビリした流れで、人丈以上の葦が両岸に茂っている場所で、けっこう楽しめたのだ。

River kobyaku
小百川下流域・なんと!ニジマス30~40cmを4〜5匹釣った。
50cmクラスはラインブレーク
River kobyaku
ヤマメを何匹か釣った。

スコットランドの川(よく行くのが river Tweed)は、水量が違う。日本の大河の中・下流域の景観である。文頭の写真を見れば分かるのだが、こんな流れのあちこちに大小のトラウトがライズしているのだ。虫がハッチしていない時や水量の多い時には、ダブルニンフを流したりフレンチニンフで脈釣りをする。これで30〜60cmのブラウンやグレーリングが釣れるのだ。60〜70cmのシートラウトやシーズン外れの銀ピカサーモンが釣れることも多い。
日本の渓流は3番ロッドまで、川は4番で事足りるのだが、スコットランドは5番以上が必要になる。嘗てスプリングサーモンを釣った時は6番9fティペット4Xを使っていたのだが、ロッドが弓の様のように撓り、走られればバッキングラインの半分ほどが出されだことを思い出す。




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