2012年3月23日〜3月25日、エジンバラ・スカルプチャー・ワークショップで私のワークショップを開催した。22日、バーミンガムからエジンバラ空港に着いたのが朝9時半。ちょっと早く着き過ぎた感はあるが、市内観光するのも行き付けのパブの店内を探索するようなものだから、今はその気にならず、取り敢えず空港からタクシーでホテルに行くことにした。5月薄曇りの空を鯉のぼりが泳いでいても良さそうなポカポカ陽気の中、タクシーの運ちゃんと雑談しながらホテルに向かった。途中の邸宅街で、「この家は J・K・ローリングさんの家だよ」と紹介してくれた。彼女を何回か乗せたらしい。お隣さん宅を買って広げる計画があるけど、近所から反対されてるとか・・・。色んな事をよく知ってて、良く喋る運ちゃんだった。ホテルに着いたら運良く朝10時にチェックインして部屋に入る事が出来た。ロビーでコーヒーを飲んで少しノンビリしてから、明日からのワークショップの会場を下見する事にした。ホテルから歩いて15分程度の所にあるはずだ。港に近い住宅街の中にスカルプチャー・ワークショップはあった。門から下り坂を下りていくと、少し埃っぽくて年代を感じる平屋造りの長屋がある。屋外には材料の石片や鉄片、木材が乱雑に積んであったりして正に彫刻のアトリエである。中に入ると二つの事務所が入口脇に並列していて、奥に簡単な会議のための集会室と台所、左に行くと実習室、その奥を左に行くと木工室や金工室、モデリングのできる空間もあって、ちゃんとした鞴や陶の窯もあった。実習室の回りには常駐してスタジオとして利用している作家達の小部屋が何室かあって、外にも常駐者のバラックが建っていた。大学を出て、作家志願の若者が制作を続けて、そして巣立っていった形跡が見て取れるのだ。私の知り合いの若い作家(ジェシカ・ハリソン)もここをスタジオとして使っていたらしい。門からの下り坂を突き当たった所では、3階建ての大きな建築物が工事中で、ここが新たなワークショップとして2ヶ月後にはオープンするらしい。そこには遠くからの利用者のために宿泊施設も完備されているとか、いわゆるアーチスト・レジデンスとして利用できるのだ。今回のワークショップのために打ち合わせをしてきた、アシスタントのケイトさんはジョディ・フォスター似のスキッとした美人で、話し方も行動もテキパキしていて、とても気持ちのいい人だ。今回の私のワークショップは、元コーンエクスチェンジ・ギャラリーのディレクター、キャロラインさんの企画である。彼女とは2年前の個展以来、何かと相談に乗ったり、ロンドン個展ではプロデュースサイドの一員として頑張ってくれたりしているのだ。今回も色々動き回ってワークショップを成功に導いてくれた。翌日23日からワークショップは始まった。参加した受講者は、エジンバラ・カレッジ・オブ・アートの PHD の学生2名をはじめ、大学の卒業生や一般市民まで8名である。ザーッと私の経歴や作品をスライド紹介して、今回の講義内容を伝えた。メーンは石を彫るという事だが、それと併せて石の道具の作り方や、使用方法を実施説明した。鞴があるから石用の矢(鉄の楔)造りや鑿の作り方を実演しながら、そのセオリーも含めて説明する。この道具の作り方、焼き入れ方法、使用テクニックは、今やほとんど廃れてしまった技術である。それを伝承して行くためには色んな所で多くの人に伝えていくしかないのだ。今回ロンドンのロイヤルカレッジ・オブ・アートでは私の時間の関係でワークショップを開催しなかったけど、彼らもその技術の習得を望んでいる。受講者の多くは、石は初めてじゃない様だ。2日目からの制作は私が手取り足取り説明しなくても、それぞれがコツコツと進めていく。25日の午後3時から、講評会を行った。受講者が自作のコンセプトとその成果を説明するのだ。PHD の学生は、一人がスクリーンの在る雲を作った。片側が平らなスクリーンになっていて、そこに雲の映像を映し、反対側は雲の形をした石の実在がある。もう一人は、作った鑿と矢で石を何個にも割った作品を作った。ここでは全員の説明はしないが、みんなそれぞれに思いの作品を作ったようだ。時間が少ないために完成までに至らなかったものは、後日続けるとの事であった。スコットランドで作品を作りたい人は、この Edinburgh Sculpture Workshop にアプライすれば、自分のアトリエを新しくオープンする新築のビルの中に持てるという事で、日本からの有志を歓迎するとの事であった。因みにスタジオレンタル料は日本の半額以下。もちろん電気水道等のインフラから道具や設備は料金に含まれるから、超制作しやすい環境なのだ。関心のある方は、下記から。Edinburgh Sculpture Workshop 公式 Website
83 エジンバラ・スカルプチャー・ワークショップ(Edinburgh Sculpture Workshop)
2012年3月23日〜3月25日、エジンバラ・スカルプチャー・ワークショップで私のワークショップを開催した。
22日、バーミンガムからエジンバラ空港に着いたのが朝9時半。ちょっと早く着き過ぎた感はあるが、市内観光するのも行き付けのパブの店内を探索するようなものだから、今はその気にならず、取り敢えず空港からタクシーでホテルに行くことにした。5月薄曇りの空を鯉のぼりが泳いでいても良さそうなポカポカ陽気の中、タクシーの運ちゃんと雑談しながらホテルに向かった。途中の邸宅街で、「この家は J・K・ローリングさんの家だよ」と紹介してくれた。彼女を何回か乗せたらしい。お隣さん宅を買って広げる計画があるけど、近所から反対されてるとか・・・。色んな事をよく知ってて、良く喋る運ちゃんだった。ホテルに着いたら運良く朝10時にチェックインして部屋に入る事が出来た。
ロビーでコーヒーを飲んで少しノンビリしてから、明日からのワークショップの会場を下見する事にした。ホテルから歩いて15分程度の所にあるはずだ。
港に近い住宅街の中にスカルプチャー・ワークショップはあった。
門から下り坂を下りていくと、少し埃っぽくて年代を感じる平屋造りの長屋がある。屋外には材料の石片や鉄片、木材が乱雑に積んであったりして正に彫刻のアトリエである。中に入ると二つの事務所が入口脇に並列していて、奥に簡単な会議のための集会室と台所、左に行くと実習室、その奥を左に行くと木工室や金工室、モデリングのできる空間もあって、ちゃんとした鞴や陶の窯もあった。実習室の回りには常駐してスタジオとして利用している作家達の小部屋が何室かあって、外にも常駐者のバラックが建っていた。
大学を出て、作家志願の若者が制作を続けて、そして巣立っていった形跡が見て取れるのだ。私の知り合いの若い作家(ジェシカ・ハリソン)もここをスタジオとして使っていたらしい。
門からの下り坂を突き当たった所では、3階建ての大きな建築物が工事中で、ここが新たなワークショップとして2ヶ月後にはオープンするらしい。そこには遠くからの利用者のために宿泊施設も完備されているとか、いわゆるアーチスト・レジデンスとして利用できるのだ。
今回のワークショップのために打ち合わせをしてきた、アシスタントのケイトさんはジョディ・フォスター似のスキッとした美人で、話し方も行動もテキパキしていて、とても気持ちのいい人だ。
今回の私のワークショップは、元コーンエクスチェンジ・ギャラリーのディレクター、キャロラインさんの企画である。彼女とは2年前の個展以来、何かと相談に乗ったり、ロンドン個展ではプロデュースサイドの一員として頑張ってくれたりしているのだ。今回も色々動き回ってワークショップを成功に導いてくれた。
翌日23日からワークショップは始まった。
参加した受講者は、エジンバラ・カレッジ・オブ・アートの PHD の学生2名をはじめ、大学の卒業生や一般市民まで8名である。
ザーッと私の経歴や作品をスライド紹介して、今回の講義内容を伝えた。メーンは石を彫るという事だが、それと併せて石の道具の作り方や、使用方法を実施説明した。鞴があるから石用の矢(鉄の楔)造りや鑿の作り方を実演しながら、そのセオリーも含めて説明する。この道具の作り方、焼き入れ方法、使用テクニックは、今やほとんど廃れてしまった技術である。それを伝承して行くためには色んな所で多くの人に伝えていくしかないのだ。今回ロンドンのロイヤルカレッジ・オブ・アートでは私の時間の関係でワークショップを開催しなかったけど、彼らもその技術の習得を望んでいる。
受講者の多くは、石は初めてじゃない様だ。2日目からの制作は私が手取り足取り説明しなくても、それぞれがコツコツと進めていく。
25日の午後3時から、講評会を行った。受講者が自作のコンセプトとその成果を説明するのだ。PHD の学生は、一人がスクリーンの在る雲を作った。片側が平らなスクリーンになっていて、そこに雲の映像を映し、反対側は雲の形をした石の実在がある。もう一人は、作った鑿と矢で石を何個にも割った作品を作った。ここでは全員の説明はしないが、みんなそれぞれに思いの作品を作ったようだ。時間が少ないために完成までに至らなかったものは、後日続けるとの事であった。
スコットランドで作品を作りたい人は、この Edinburgh Sculpture Workshop にアプライすれば、自分のアトリエを新しくオープンする新築のビルの中に持てるという事で、日本からの有志を歓迎するとの事であった。因みにスタジオレンタル料は日本の半額以下。もちろん電気水道等のインフラから道具や設備は料金に含まれるから、超制作しやすい環境なのだ。
関心のある方は、下記から。
Edinburgh Sculpture Workshop 公式 Website