雑談紀行



81    ウォーウィック大学・アートセンター(Warwick University Art Center)

Warwick university2011年10月16日、ウエールズに近いアントさんの家から、バーミンガムに近いウォーウィックまで、田舎道と高速道を併用して2時間半車に揺られて、夜8時にホテルに到着した。簡素だが研究者やゲストがコンファレンスで利用し宿泊するホテルとしては十分な施設である。もちろん多くの会議室やレストラン・パブも整っていて、各部屋でのネット環境もバッチリである。先ずはパブでビールを飲み簡単な晩ご飯を食べ、のんびりと風呂に入ってから就寝した。
翌朝10時にアートセンターのディレクターと待ち合わせている。ホテルから徒歩で10分も歩かない所にアートセンターはあった。道すがらの往来は、もはや多くの学生や研究者や教員と思われる輩が賑やかに行き来していて、活発に動いている大学だと言うことが分かった。
私は、ここのディレクターと会うのは今回が初めてである。もちろんメールでは遣り取りしているし、手の骨折で夏の予定を変更した時には電話でも話しているのだが、まだ会ったことは無い。
アートセンター内部は、美術館・ギャラリー・劇場・映画館・スタジオ・パブ・レストラン・スナック等の施設が揃っていて、総合的な文化施設である。時間的に未だ開館していない美術館辺りには人影は疎らなのだが、アートセンター全体に現代美術が展示してあって、風景の一部になっているのだ。(写真右上は、リチャード・ディーコンの巨大な野外作品)
Warwick Art Center10時にディレクターのサラさんが現れた。もちろん面識が無いから私は気付かなかったのだが、サラさんの方から声をかけてくれた。ふくよかな女性である。
今回の渡航目的である、来春に設置予定の「Forest-planet」3点の設置場所を何処にするか? 大学内を案内してもらいながら大学サイドの希望候補地を視察しながら検討する。
広大な敷地に、各ジャンルの研究棟が広がっていて、それぞれの学生や研究者のアコモデーションも大学内に完備されている様だ。ただ、この大学には美術関係の実技的な学科は無い。学問としての美術史等はあるらしいのだが、アートカレッジのような実制作を教える学科は無いのだ。政治・経済・工学・科学・私物学・医学には様々な人種の学生が世界から集まっているのだが、芸術の実践系は他のカレッジに任せている。その分アートセンターが重要なポジションを担っているようなのだ。
一日かけて各学科や大学管理棟やアコモデーションの候補地を視察した。
それぞれに彫刻を置きたい空間が広がっているのだが、最終的に私が決定したのは、アートセンター前に広がる芝生の広場にした。
なぜなら、大学の空間的構造が、アートセンターを中心に広がっている点にある。すべての中心は文化にある。文化や芸術を中心に据えて、そこから様々なジャンルに広がっていくという社会構造の理想的考え方が、大学の空間作りにも生かされているのだ。現実的に、それぞれの専門分野で学んだり研究したりしている人たちは、アートセンターに集まり、またそこからそれぞれの分野に広がっていくわけだ。
日本の事を思うと、文化芸術はいつも社会の端っこに細々とある、いや今はそれさえも無いのかも知れない。経済が何時も社会構造の中心にあって、文化は経済から派生した小さなジャンルということになっているのだ。だから経済が回らなくなると全てがポシャってしまうし、人々の意識から日本と言う誇りも消えてしまう事も多々あるわけだ。
それに引き換え、文化を中心に据えた構造は(国は)強い。歴史や文化や芸術が、個々の意識の中心にある。経済が回って行かなくなるという現象の中でも、国民の意識は自国の文化や歴史という誇りを持っている。それをベースとして、新たな経済構造を模索し発展させる原動力にするのだ。
文化は社会の中心にあるべきだと、口で言うのは容易い。重要なのは、その構造を目に見える形で、習慣的に体験する実態を作る事である。そういう意味でもイギリスのウォーウィック大学は素晴らしいと思った。日本の大学に、このコンセプトと空間設営はあるんだろうか?。

Warwick university Warwick university

2012年春に、「Forest - planet」の3点を設置する空間。この緑地全体が、私の宇宙空間になる。




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