デルフト工科大学(Delft University of Technology)にも初めて行った。その全貌を見た訳じゃないけど、オランダの大学状況というか、デルフト工科大学の片鱗が見て取れた気がした。 私が訪れたのは、"Faculty of Industrial Design" インダストリアル・デザイン学部である。(写真右)は、その学部棟の入り口付近の写真である。さすがに空間を十分に取ったショー会場の様な建物だ。 中に入ってまたびっくり、体育館を思わせる様な工房が広がっていて、高い天井を支える柱をクリアすれば、ちょっとした飛行機くらい作れてしまう程である。室内空間の配色も実にオランダ的と言うか、オランダ国旗の色使いである。青が空間の縦面に、白が平面に、要所要所に在る赤いポイントが目を引く。(写真左) そう言えば、オランダの近代建築には、この配色が多く取り入れられているのである。何となくオランダ的と思ってしまうのは、国旗から来ているからなのだ。さしづめ日本なら白地に赤という話になるのだが、この配色を取り入れた日本のビルは、全く無いと言っていい。その配色にお目出度さを感じるのか?過度な国粋主義的イメージが染み付いているのか?使い方に依っては悪い配色じゃないと思うのだが、近代日本では白地に赤が意識的に遠ざけられているようだ。 この広い空間から、前後左右に1F~4Fまでのフロアがあって、ゆったりとした研究室や工房がそれぞれ広がっている。研究室には、様々な実験機材や模型やコンピューターがあって、学生なのか博士なのか見分けは付かないのだが、真剣に研究開発に挑んでいるのが垣間見れる。 棟の一階、入り口写真の左棟に学部専用のパブがあった。夕方からビールやワインを飲める日があるらしい。大学は大人の空間という考えからだと思うのだが、さすがである。日本の高校の延長的な大学とは、基本が異なっている気がした。(写真右)は、同大学の学生会館?だったかなあ。品数の多い学生食堂が一階に入っている。 外観が面白い建築物なのでカメラに収めた。後方に広がる建物も、他の学部らしい。(写真右)インターネットが自由に使えると聞いて、大学の図書館にも行ってみた。ここがまた変わった空間なのだ。配色は落ち着いたブラウン系なのだが、建物の中心に円形の吹き抜けがあって、2F~4Fの床と天井を突き抜けて、屋外に突き出たガラス張り円錐形の空間になっているのだ。円錐形だから下の階の円形程くり抜きが多い。くり抜きには机が円形に廻っていて、多くの学生が調べものをしていた。
さて、私が今まで行った事も無いデルフト工科大に行ったのは、通称ポンコちゃんの陣中見舞いである。同学部のビジュアル・インフォメーション・デザイン・グループの一員として、サイン・デザインの研究をしている彼女に、旨い日本酒を手土産に、ノンビリやれば!と言いに行ったのだ。勿論、Delft University of Technologyと言う名前に、非常に興味をそそられた所為もあるし、同グループの長 Prof. Paul Mijksenaar氏(世界的なインフォメーション・デザイナー)が、私のこのHPを見て、「今度会えるのを楽しみにしている」と、直接メールをくれたという事もある。そんな訳で、忙しさの合間を見てデルフトを訪れたのだ。 (右下写真)は、ポール教授と奥さんが、ポンコちゃんと私とをアムステルダムのオランダ料理レストランに招待してくれた時の写真である。ポールさんのたっての願いで、我々をオランダの昔の街並の残る場所に案内したいという事で、同日の午後、彼のデザインしたスキポール空港で待ち合わせて、年代物のブルーのシトロエンで夕方まで田舎街を廻ったのだ。 私の印象として、ポールさんは実に気さくな人だったし、それにも増して奥さんのエレンさんは愉快な人だった。同時にこのレストランの雰囲気と料理が旨かった。 レストランの名前と場所は、「普段着・2006 の 2006.2.14 」の文末に(アムスのマップ)があるので、クリック頂ければ、分かります。 (次の写真)は、彼女の友人達と食事をした時の写真。奥の2人が夫婦で、奥さん(エリフ)は同大学の博士過程の学生で、旦那(アレックス)はインダストリアル・デザイナーである。地球を回る衛星の機材をデザインしているとか。自分のデザインした物が、今も宇宙空間で活躍しているらしい。左はピートちゃんと言う研究グループの一員で助教授。親切だけど、よく喋る奴だと思ったらインタラクションデザインの専門家らしい。 そうそう、この家はアレックス夫婦が新たに購入した家で、この夜が初めての入居とディナーだったんだと。デルフトから車で15分くらい離れているが、広くてがっしりした、いい家だった。 僅か数日で巡った、忙しい旅だったのだが、大いに充実した旅だった。日本に帰って来たら、日本の方がずいぶんと寒かった。
50 デルフト
Delft は、デンハーグとロッテルダムの間に位置している古い街である。第2次大戦で完璧に破壊されたロッテルダムから、ほとんど離れてはいないのだが、旧市街地が健在に残っている美しい街である。
嘗てから、陶芸のデルフト焼きで有名だという事は知っていたのだが、とにかく初めてのDelftである。
駅に降り立った印象は、簡素でこじんまりとした、学生の行き来の多い大学都市という雰囲気だ。上の写真は、旧市街地・中心街の風景。レンガを敷き詰めた広大な広場に、そびえ立つ教会とシティーホールが構えている。広場の周りはレストランとか、土産物屋さんが軒を連ねていて、私が訪れたのが雨の日曜日だったせいで観光客の姿もまばらだったのだが、普段はかなり賑わうらしい。中心街から一筋入った所に、市民の広場の様な空間があった。やはりレンガを敷き詰めた矩形の広場で、その中に大きな木がグリット状に立っていた。
余談なのだが、オランダには手付かずの自然空間はほとんど無いらしい。何処も人工の空間なのだ。それはヨーロッパ全体に言える事なのだが、日本の様に険しい山谷が無いから、ほとんどの原野は人が作ったものか、もしくは人の手で作り上げられてた森林なのだ。
それにしても、オランダの木々はアグレッシブさが目立つ気がする。日本の街路樹は年に一回の剪定作業が入るから、街の中で木一本一本が主張し過ぎないのだが、オランダの街路樹はやたらとアグレッシブに主張する奴が多い気がする。木もやはり個人主義と言うか、自己主張が重んじられるのかも知れない。
デルフト工科大学(Delft University of Technology)にも初めて行った。その全貌を見た訳じゃないけど、オランダの大学状況というか、デルフト工科大学の片鱗が見て取れた気がした。
私が訪れたのは、"Faculty of Industrial Design" インダストリアル・デザイン学部である。(写真右)は、その学部棟の入り口付近の写真である。さすがに空間を十分に取ったショー会場の様な建物だ。
中に入ってまたびっくり、体育館を思わせる様な工房が広がっていて、高い天井を支える柱をクリアすれば、ちょっとした飛行機くらい作れてしまう程である。室内空間の配色も実にオランダ的と言うか、オランダ国旗の色使いである。青が空間の縦面に、白が平面に、要所要所に在る赤いポイントが目を引く。(写真左)
そう言えば、オランダの近代建築には、この配色が多く取り入れられているのである。何となくオランダ的と思ってしまうのは、国旗から来ているからなのだ。さしづめ日本なら白地に赤という話になるのだが、この配色を取り入れた日本のビルは、全く無いと言っていい。その配色にお目出度さを感じるのか?過度な国粋主義的イメージが染み付いているのか?使い方に依っては悪い配色じゃないと思うのだが、近代日本では白地に赤が意識的に遠ざけられているようだ。
この広い空間から、前後左右に1F~4Fまでのフロアがあって、ゆったりとした研究室や工房がそれぞれ広がっている。研究室には、様々な実験機材や模型やコンピューターがあって、学生なのか博士なのか見分けは付かないのだが、真剣に研究開発に挑んでいるのが垣間見れる。
棟の一階、入り口写真の左棟に学部専用のパブがあった。夕方からビールやワインを飲める日があるらしい。大学は大人の空間という考えからだと思うのだが、さすがである。日本の高校の延長的な大学とは、基本が異なっている気がした。(写真右)は、同大学の学生会館?だったかなあ。品数の多い学生食堂が一階に入っている。
外観が面白い建築物なのでカメラに収めた。後方に広がる建物も、他の学部らしい。(写真右)インターネットが自由に使えると聞いて、大学の図書館にも行ってみた。ここがまた変わった空間なのだ。配色は落ち着いたブラウン系なのだが、建物の中心に円形の吹き抜けがあって、2F~4Fの床と天井を突き抜けて、屋外に突き出たガラス張り円錐形の空間になっているのだ。円錐形だから下の階の円形程くり抜きが多い。くり抜きには机が円形に廻っていて、多くの学生が調べものをしていた。
正面の壁は全面が蔵書棚になっているのだが、格階で天井までの高さが5〜6mはある。単純な疑問だが、高い所に収まっている本は、どうやって出すんだ?と思ってしまった。
高い書棚の反対側は、使い放題のコンピューターが列んでいて、多くの学生が使っていたのだが、日本語がインストールしてある物が無くて、私としては用を足さなかった。持って行ったPBookちゃんも試したのだが繋がらない。どうやら大学からパーソナルIDと暗証番号をもらわないと、繋がらないらしい。当然とは言うものの残念!
因に、図書館の外観は地続きの芝生が全体を覆っていて、芝生の丘に見えてしまう。その丘の天辺に、例のガラス張りの円錐が突き出ているのだ。そんな訳で、誰でも自由に図書館の屋根に登り降り出来て、屋根の芝生で昼寝する事も出来るのだ。
話が戻るのだが、大学内の街路樹は太くて堂々としている。だがどれも超アグレッシブだった。気風だろうなあ。
さて、私が今まで行った事も無いデルフト工科大に行ったのは、通称ポンコちゃんの陣中見舞いである。同学部のビジュアル・インフォメーション・デザイン・グループの一員として、サイン・デザインの研究をしている彼女に、旨い日本酒を手土産に、ノンビリやれば!と言いに行ったのだ。勿論、Delft University of Technologyと言う名前に、非常に興味をそそられた所為もあるし、同グループの長 Prof. Paul Mijksenaar氏(世界的なインフォメーション・デザイナー)が、私のこのHPを見て、「今度会えるのを楽しみにしている」と、直接メールをくれたという事もある。そんな訳で、忙しさの合間を見てデルフトを訪れたのだ。
(右下写真)は、ポール教授と奥さんが、ポンコちゃんと私とをアムステルダムのオランダ料理レストランに招待してくれた時の写真である。ポールさんのたっての願いで、我々をオランダの昔の街並の残る場所に案内したいという事で、同日の午後、彼のデザインしたスキポール空港で待ち合わせて、年代物のブルーのシトロエンで夕方まで田舎街を廻ったのだ。
私の印象として、ポールさんは実に気さくな人だったし、それにも増して奥さんのエレンさんは愉快な人だった。同時にこのレストランの雰囲気と料理が旨かった。
レストランの名前と場所は、「普段着・2006 の 2006.2.14 」の文末に(アムスのマップ)があるので、クリック頂ければ、分かります。
(次の写真)は、彼女の友人達と食事をした時の写真。奥の2人が夫婦で、奥さん(エリフ)は同大学の博士過程の学生で、旦那(アレックス)はインダストリアル・デザイナーである。地球を回る衛星の機材をデザインしているとか。自分のデザインした物が、今も宇宙空間で活躍しているらしい。左はピートちゃんと言う研究グループの一員で助教授。親切だけど、よく喋る奴だと思ったらインタラクションデザインの専門家らしい。
そうそう、この家はアレックス夫婦が新たに購入した家で、この夜が初めての入居とディナーだったんだと。デルフトから車で15分くらい離れているが、広くてがっしりした、いい家だった。
僅か数日で巡った、忙しい旅だったのだが、大いに充実した旅だった。日本に帰って来たら、日本の方がずいぶんと寒かった。
(PS.) オランダの家庭では、カーテンというものをほとんど使わない家が多い。昼夜関係無く何時も内部が見える様に窓一杯に開け放しているのだ。家の中を常時整理整頓してスッキリと奇麗にしてあるからだと思うのだが、夕暮れ時に部屋の電気を点けて、開け放した窓の中で、若い男女が抱擁している家もあった。開放的な国民性なんだろうなあ。
因に、国が広くないから、ちょっと行けばドイツ、ベルギー、フランス、ルクセンブルグに辿り着くのだが、国境を越えただけで、この開放的国民性はガラッと変わる。プライベイトは公開しない国民性に変わるのだ。オランダ人のポールさんも、不思議がってたから本当の話である。