67   葛(くず)モンスター

2008年10月
近年、里山の変容に気付く。葛(くず)の浸食が非常に激しいのだ。都市近郊の林は言うに及ばす田舎の人里近くの森林でも、成長の早い蔓植物の葛が我がもの顔で木々に覆い被さり、森や林を片っ端から蝕んでいる。
昔は農家に牛馬がいて、その食料に葛が使われる事が多かったらしく、適度なバランスを保っていたようだが、近代農業では全てが機械化された。しかも現代人は葛餅の作り方も知らないから、葛にとっては我が世の春。全くの勝手気儘、伸び放題、浸食し放題なのだ。
私が今の家に引っ越してきた時、庭中が葛で覆われていた。3~4年計画で葛絶滅作戦を敢行したのだが、これがどうしてしぶといというか頑固というか執念深いというか、まるでスパムメイルのように削除しても削除しても次から次に出てくる。地上の蔓だけでなく地下茎も張り巡らして浸食してくるから非常に質が悪いのだ。
このまま行くと日本の豊かな森は、葛に占領されてしまうんじゃないかと真剣に危惧している今日この頃なのだ。

Kuzu monster
雨引の展覧会受付、シトラスの側の葛

上の写真は、雨引の里と彫刻 2008 の受付のあるシトラスから見た近くの林である。写真の下方は田圃なのだが、そこから始まって林の前線にある木々は既に葛に飲み込まれている。
左の葛の山はまるで巨大なマンモスの再来。真ん中に巨神兵がオドロオドロしく人間の領域を見据えながら、不気味に笑っているのだ。
もはや、こいつらをぶっ潰すには、ブルドーザーかパワーショベルで地面もろとも削り取るしかないが、でもそれを誰もやろうとはしない。だから巨神兵は益々その食指を森へ林へと伸ばしていく。

因みに、葛粉の効用をウィキペディアから引用した。------------
葛粉(くずこ、くず粉)は、マメ科のつる性多年草、秋の七草の一つクズの根から得られるデンプンを精製して作られる食用の粉で、デンプン類の中では、最高級とされている。
和菓子や洋菓子の材料、料理(和食、洋食、中華)のとろみつけなど、冷めにくく、冷えると固まる為、さまざまな用途がある。
葛粉は、薬効を持ち、古くから体を温めたり血行をよくする為、風邪引き(葛根湯)や胃腸不良の時の民間治療薬として珍重されてきた。近年、健康志向の高まりも手伝って、自然食品や健康食品として、ますます注目をあびている。また、更年期障害や骨粗鬆症、糖尿病、乳癌、子宮癌や男性の前立腺癌、の治療もしくは、改善に効果があるとされる、イソフラボンが含まれている事も、追い風になっている。


--------手間暇掛けて、みんなで最高級の葛粉と葛餅を作ろう。今や葛は無尽蔵にあるぞ。

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