61   おもかげ

2007.8月吉日、広島に帰郷した時期と重なって、小学校時代(44年前)の同窓会があった。開宴時間ジャストに会場に着いたら、既に全員が座敷に座っていて宴会も始まっていた。当然私が最後に入場したことになる。一同の視線を一斉に受けることになったわけだ。その瞬間、私の中で時代が半世紀ほど逆戻りした。
私が同窓会に参加するのは二十数年ぶりかも知れない。40年ぶりに見る同級生の顔もある。
自分でも驚いたのだが、参加者全員の人と名前をハッキリと覚えていたのだ。とは言っても、私の記憶力が優れているのではない。全員が小学校時代の面影を、まるでデジタル化した画像データのように正確に留めているのだ。44年ほどの歳月が幻のように経過して、昔のイメージのまま55〜56歳に差し掛かろうとしているだけなのだ。elementary school
学校帰りに魚取りをした連中は、未だに網を持って川に入っていきそうだし、イラだった奴は未だにイラだし、冗談飛ばしの上手かった奴は未だに冗談が冴えてるし、温和しかった子は未だに温和だし、キビキビとリードしてた奴は未だにキビキビしてるし、初めて恋心を抱いた子は未だに当時を偲ばせているし、先生の喋り方や視線の移し方もちっとも変わっていない。何十年会わなくても、みんなみんなそのままそっくり昔の仲間なのだ。
それぞれが自分の人生を生きて来て、裕福な奴もいるし、勤勉に働いている奴もいるし、社長として経営手腕を発揮している奴もいるし、主婦として家庭を切り盛りしている者、既に孫が適齢期に達しようとしている者もいる。どうやら俺だけが未だに見果てぬ夢を追ってフラフラしている風来坊なのかも知れない。
でも、何があっても、どんな生活をしてようとも、同じ時代に同じ空間で刷り込みされた同胞なのだ。やっぱりみんな素晴らしい仲間なのだ。

ただの雑談

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