円柱の撤去と移設

2018年に広島県の担当者の方がつくばにみえて、広島空港の円柱モニュメントを移設しなければならなくなりそうだという話しを、聞いたのが始まりだった。
広島空港の経営権を民間会社に移譲する事が決まって、同時に国の要請で立体駐車場の建設が急務になり、円柱の敷地が国の所有だったことも併せて、円柱作品の移設先について作者(著作権者)である私に相談を持ちかけられていたという経緯がある。
話し合いを3年程続けていて、空港に隣接する県所有の土地に移設できるという事になた。その空間の広さと形状の関係で、全ての円柱を移し作品として成立させることは無理だと判断して、断腸の思いで円柱を間引くことにした。大理石円柱の風化が激しいことが判明、何時折れても不思議ではないことが分かり、残す大理石の寸を1.5〜2.5メーター詰めて、なおかつ補強もしなければ安全に展示できないと判断した。
他の石や金属円柱は健康なのだが,近年の夏の暑さを考えた時、黒御影石材の高密度と太陽熱吸収率+熱伝導率を鑑みると夏のための補強が不可欠であると判断した。その2点も要因になって私も積極的に移設に賛同した。
円柱撤去写真

円柱の再計算と再設置

以下の写真は円柱補強作業と、新しい空間での設置作業写真だ。
新たな設置場所の正確な地点登録から相手空港のロビーまでの正確な方位と角度を出して(以前は地球の中心点を求めて、標高補正なども施して計算で求めたのだが、現在はナビ衛星からの地点の位置出しを行い、そのベクトル計算を下に方位角・垂直角を出しをした。位置出しは世界測地系システムで、国土地理院の全面的協力の下、計算いただいた数値である。)
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大理石の寸詰め作業
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黒御影石円柱の中心にコアドリルで穴を貫通させる
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コアビットで開けた穴に
特注の長いステンレスロッド(両端ねじ切り)を挿入する
ロッドの上下とも、ダブルでワッシャ+バネワッシャを入れ
ナットもダブルにして締め付ける。
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100トンクレーンを使って、円柱の設置作業
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円柱の角度を決める補助具を作って正確に対応する

円柱の再設置完了

以下の写真は円柱補強作業と、新しい空間での設置作業写真だ。
新たな設置場所の正確な地点登録から相手空港のロビーまでの正確な方位と角度を出して(以前は地球の中心点を求めて、標高補正なども施して計算で求めたのだが、現在はナビゲーション衛星からの位置出しから計算する世界測地系システムで、国土地理院の協力の下で計算いただいた数値である。)
これから地面の埋め戻しと,舗装が始まる。
円柱撤去時の悲しい写真


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