「記憶体積」(Memorial Volume) シリーズ
存在と素材
昔、白御影石の石切場に行って、地球の巨大な岩盤から石材を切り出している風景に触れて以来、石に自分の形を彫り込むことが出来なくなりました。石は、自分を超えた一つの存在だと感じ始めたのです。その存在としての塊と形を、たかだか数十年しか生きていない私が彫り刻むことが、人間としてのエゴじゃないかと思うようになったのです。
でも私は彫刻家を志していて、石を彫らないわけにはいかない。相当悩みました。最終的に、石を自分の手に乗る素材の次元にまで細かく分解してから(舗石の素材)、自分の形を作ることを始めました。
それが、記憶体積シリーズの始まりです。
「深い記憶-1、2」 1991 size: 5m * 2.7m * 1.6 m(h)(新川ギャラリー上田CSにて)
御影石、自然石、河原の石、土、木
全ての「記憶体積」は中に、未現像フィルムが入っています。
生きて行く上で、印象的なシーンを撮って、そのまま埋めています。
中にある石を無理矢理割って取り出そうとすると、記憶は感光して消え去ってしまいます。
「記憶体積 coffer2」1989 size:93cm(h)(絵門仁所蔵)
「記憶体積」の中には赤い柱が入っている。
「記憶体積 ark」(台東区所蔵)1989
記憶体積のインスタレーション(御茶ノ水スクウェアにて)1991
「記憶体積 Green」1990(大蔵省・三田会議所蔵) size:1m(h)
「記憶体積 - yellow kind」 1994 size:1m(h)(ファーレ立川に設置)
一個の石を720個の舗石素材に割ってから、元の石に再構築した。
記憶体積の基になった作品 1987
「記憶体積 - blue」 1990 size:1m(h)(伊勢現代美術館蔵)
銀座小松ストアーにて 1993
現在(広島現代美術館蔵・愛知県美術館蔵)
「Gelbe Sorte- ne Volume(黄色の種類)」 1992 size:14m(L)
裏ドクメンタ展(Encountering Others)にて現地制作
(ハンミュンデン市美術館中庭・ドイツ)
4年後、ハンミュンデン市から電話が掛かってきて、彫刻を移設したいとのこと。と言うのも、この場所は展覧会のために県から半年間だけ借りていた場所で、県からの再三の移設要請があり、私に電話したらしいのだ。もちろん移設なんかできない。作品の中に埋め込んだ記憶物を、地下に埋めることを条件に、壊すことに同意して再度ドイツ入りした。
右の写真は、記憶物を地下に埋めて、その上に作品に使っていた石を埋め込んだものだ。石の上に「芸術の暮」と彫り込んだ。
今でもこの地下に記憶物が埋まっている。
GoogleMapで、この場所の位置を検索できます。
GoogleMap
「記憶体積ー水」 2004
size:1.6m(h) 白御影石・水
"Faraway mountain" 2006、白御影石 12本の石柱。
12本の石柱は一個の石から出来ていて、最終的に一個の大きな彫刻にすることが出来る。
"Faraway Memory" 2006、5種類の御影石、壁の作品(個人蔵)
"Faraway River" 2006、白御影石、壁の作品
"Faraway mountain" 2006 チェルシーカレッジ オブ アート
個人コレクター蔵画像
"Distant Memory" 2006
size : 65(h) * 270 * 115 cm
Saint Paul city USA
黒い自然石の形を、大きな石灰岩の中にくり抜いて、そのくり抜いた中に、この町の道路として100〜200年間使われていた舗石を、充填しながら組み上げていった。
(GoogleMap)
Saint Paul 市・作品の設置ポイント →
「寡黙容量」 1991 , size : 150(h) * 700 * 400 cm(宇部市)
2007年夏、常盤公園内の芝生空間の中心に設置されていた同作品を、作品のコンセプトに従って、市内の街角の一角に移設。
街の一角で、汚れボロボロになりながらなお、中にキープした記憶を守り続けるとき、この作品は輝き始めるのです。美しい芝生のステージから、街角に移設することができて良かった。
「遠い山 - 3」2016年/ 白御影石/size: 290 cm(w) * 470 cm(d) * 190 cm(h)
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Copyright © Atsuo Okamoto
「記憶体積」(Memorial Volume) シリーズ
存在と素材
昔、白御影石の石切場に行って、地球の巨大な岩盤から石材を切り出している風景に触れて以来、石に自分の形を彫り込むことが出来なくなりました。石は、自分を超えた一つの存在だと感じ始めたのです。その存在としての塊と形を、たかだか数十年しか生きていない私が彫り刻むことが、人間としてのエゴじゃないかと思うようになったのです。
でも私は彫刻家を志していて、石を彫らないわけにはいかない。相当悩みました。最終的に、石を自分の手に乗る素材の次元にまで細かく分解してから(舗石の素材)、自分の形を作ることを始めました。
それが、記憶体積シリーズの始まりです。
御影石、自然石、河原の石、土、木
生きて行く上で、印象的なシーンを撮って、そのまま埋めています。
中にある石を無理矢理割って取り出そうとすると、記憶は感光して消え去ってしまいます。
「記憶体積 coffer2」1989 size:93cm(h)(絵門仁所蔵)
「記憶体積」の中には赤い柱が入っている。
「記憶体積 ark」(台東区所蔵)1989
記憶体積のインスタレーション(御茶ノ水スクウェアにて)1991
「記憶体積 - yellow kind」 1994 size:1m(h)(ファーレ立川に設置)
一個の石を720個の舗石素材に割ってから、元の石に再構築した。
記憶体積の基になった作品 1987
「記憶体積 - blue」 1990 size:1m(h)(伊勢現代美術館蔵)
銀座小松ストアーにて 1993
現在(広島現代美術館蔵・愛知県美術館蔵)
裏ドクメンタ展(Encountering Others)にて現地制作
(ハンミュンデン市美術館中庭・ドイツ)
右の写真は、記憶物を地下に埋めて、その上に作品に使っていた石を埋め込んだものだ。石の上に「芸術の暮」と彫り込んだ。
今でもこの地下に記憶物が埋まっている。
GoogleMap
size:1.6m(h) 白御影石・水
"Faraway mountain" 2006、白御影石 12本の石柱。
12本の石柱は一個の石から出来ていて、最終的に一個の大きな彫刻にすることが出来る。
"Faraway Memory" 2006、5種類の御影石、壁の作品(個人蔵)
"Faraway River" 2006、白御影石、壁の作品
"Faraway mountain" 2006 チェルシーカレッジ オブ アート
個人コレクター蔵画像
size : 65(h) * 270 * 115 cm
Saint Paul city USA
黒い自然石の形を、大きな石灰岩の中にくり抜いて、そのくり抜いた中に、この町の道路として100〜200年間使われていた舗石を、充填しながら組み上げていった。
Saint Paul 市・作品の設置ポイント →
2007年夏、常盤公園内の芝生空間の中心に設置されていた同作品を、作品のコンセプトに従って、市内の街角の一角に移設。
街の一角で、汚れボロボロになりながらなお、中にキープした記憶を守り続けるとき、この作品は輝き始めるのです。美しい芝生のステージから、街角に移設することができて良かった。
「遠い山 - 3」2016年/ 白御影石/size: 290 cm(w) * 470 cm(d) * 190 cm(h)