2022年9月上旬このところ雨の多い日が続いている。その合間を縫って近隣を歩くようにはしている。とはいうものの 個展の直前で、頭は個展作品のレイアウト等でイッパイになっていて、身動きが取れなくなっている。それにしても、日が暮れる時間帯になると、歩き虫がウジウジと足に取り憑いてきて、身動きの取れなくなった思考を、リセットさせたくなるのだ。カメラを持って歩くのが私の何時ものスタイルなので、肩からぶら下げて家を出た。西日が雲に隠れると辺りは薄暗くなって来て、いわゆるトワイライトの薄明かりの風景になる。これがたまらなく風情があって、詩情をかき立てる。と言うより、かき立てられることを期待して歩くと言った方が良いのかも知れない。西に盛り上がった雲が上空の薄い雲に影を投影している。雲の稜線は止まった稲光のように威光を放つ。上を見上げると、たまらなく曖昧な光の下で、天空に向けた「止まれ」の道路標識が、曖昧な孤独に耐えていた。