field fire
陽炎

午後3時に制作の手を休めて、カメラ片手に仕事場周辺を散歩する。
農道を歩いていると、一面が勢いよく燃え盛る野焼きの現場に差し掛かった。人影が見当たらないので、もしや自然発火!と一瞬不安になったのだが、田圃の持ち主と思わしき人影が炎の向こうにチラ見えしたので一先ず安心した。炎の勢いが強いから、背後の風景が水飴の様にグラグラ揺れているから人を見極める事が難しいのだ。
この時期お百姓さん達は、広い田圃の野焼きをする。枯れた稲の切り株や畦道の雑草を一斉に燃やす。その度に強烈な陽炎が背景を煮え立たせ、レトロな硝子窓の時空に風景を連れ去るのだ。

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