雨引の里と彫刻 2022: 岡本敦生(Atsuo OKAMOTO)の作品をインストールした場所の風景

chat/普段着・2022 でも一寸だけ触れたのだが、彫刻と空間、彫刻とモノとは切っても切れない深い関係がある。彫刻自体が表現媒体として、物体の成り立ちや振る舞いを断ち切れないからなのだが、今回ここで私が興味あるのは、背景にある風景の変容にある。野外というライブ空間は、室内のホワイトキューブ空間(音楽で言うスタジオ録音)とは違って、季節により、天候により、人為的造作により刻々と変化する。その空間状況と自分が制作し設置した彫刻とが、如何に対峙するのか? そこでどういう空気が生まれ育まれるのか? そして私は何を感じるのか?
今まで雨引の里と彫刻の展示では、様々な実験的作品を展開した。
ある時は、人里離れた山裾のブッシュの中だったり、誰も住まなくなって朽ち果てようとする家屋や敷地に、UNIT(モノリスの様な彫刻)を設置し、人が放棄した空間と彫刻とを対峙させたり、cocoonと題した大きな蛹、もしくは繭のコンセプトの彫刻を設置したり、のどかな田舎の風景・田圃の真ん中に電気を引いてアンテナを立て、4〜5台のTVを持ち込んで、昼夜を問わず都市から発せられる情報や映像と、山里に揺蕩い流れる時間とを対峙させたり・・・etc。

今回は、大きな一本の木の有り様と、息をする彫刻+歩き始める彫刻とを同じ敷地の中で対峙させてみた。 これから初冬に掛けて風景が変わる、正面のクヌギが色付き始めて、葉を落とし幹と枝になって行くのだ。
果たして、ここでどんな空気が流れるのか? とても興味がある。

岡本敦
岡本敦生の展開スペース「息を彫る」"Sculpture of Breating"

岡本のスペース
岡本敦生の展開スペース「息を彫る」"Sculpture of Breating"

岡本の作品-2
岡本敦生の作品「息の化石」"Fossil of breathing"


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