road
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田舎道

遠くまで続く田舎道には、同時に過去へと続く深遠な記憶の時空が存在している様に感じる。振り返ると、自分が辿ってきた時空が陽炎のように漂っているかのようだ。
彼方に見える過去に戻って、もう一度その情景に埋もれてみたいのだが、懐かしい過去に後戻りする勇気がないから、視界を未だ見ぬ未来に向けることにする。
ふと振り返れば、私の歩いてきた道が続いているのが見えるから、ひとまず安堵して前に進むのだが、何時の日かこの道を遡って過ぎ去った空間に戻ってみたい気がしてくる。
今!というこの瞬間が過去と未来、ミクロとマクロを繋ぐ接点として、私の意識は壮大な時空の点上に在るのだ。今を取り巻く今は重層的に繋がった位相円環上の移行する特異点である。

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