雑談紀行


84    ボーダーズ・スカルプチャー・パーク(Borders Sculpture Park)

a sight in Borders Sculpture park

a sight in Borders Sculpture park2012年3月28日。
2008年にギャラリーユマニテ東京の個展で発表し、その後2010年夏のエジンバラ・アートフェスティバルの期間中、ゲイフィールド・スクウェアガーデンスに展示した「FOREST - H1」と「FOREST - H2」を、来年3月に新しくオープンするボーダーズ・スカルプチャー・パークに設置した。
ボーダーズ・スカルプチャー・パークは、エジンバラから車で1時間半ほど南に位置する、スコットランドとイングランドの内陸境界に近い場所にある Mellerstain House and Gerden (メラステイン・ハウス & ガーデン)に来春オープンする彫刻公園である。
そこに、友人(Jake)のスタジオに預けてあった私の作品2点を運んで設置したのだ。
メラステイン・ハウス & ガーデンは、広大な庭園と、それに囲まれた石造りの建物(大きな家だということらしいが、どう見ても城なのだ)がある。Forest H1 & 2 in Borders Sculpture parkオーナーの 第13代 Haddington 伯爵と奥様とお嬢さんが母屋と繋がった別棟にお住まいである。この広大なお屋敷を維持管理するだけでも、私が1000人ほど生きていけるくらいの金額になるかも? 因みに、このお屋敷に辿り着くためには、外門に辿り着くまで2〜3キロの真っ直ぐな道路を、外門目指して走るのだ。Mellerstain House and Gerden の外ゲートは以外に簡素である。門が開いているとチョコッと入ってみたくなるほどに威圧感がないのだ。チョコッと門を入ってみると庭園の中をカーブしながら道は続く。手入れされた自然空間を見ながら500メーターくらい走ると、ハウス(お城)がカットされる前のケーキのように、木々の間から少しずつ見えてくるのだ。写真右は家の敷地から庭園内を見た風景で、鍛造されたフェンスは庭園と家との境界である。
庭園をグルッと散策するためには弁当持参の1日がかりになるので、今回は全体を把握した訳じゃないけど、丘あり森あり川あり池ありの広大な彫刻公園になるわけだ。丘の下の池には多くの水鳥が居て、水際から家に向かっては、ヨーロッパ特有の直線的な庭園が続いている。嘗ては船遊びの社交会が開かれたのではないかと思われる石のステージやスクウェアな芝生空間、花壇が家まで伸びているのだ。Forest H1 & 2 in Borders Sculpture park

Borders Sculpture park には、これから多くの作品が入ってくる。それぞれのロケーションに併せて設置されるわけだ。今回私が訪英しているという事で、私の作品が最初に設置されたのだが、ヨークシャー・スカルプチャーパークのキュレーターや、テート・ブリテン・エジンバラ美術館のキュレーターも入って、来春のオープンに向けて準備が進んでいる。
作品2点は、池に向かってのなだらかな傾斜地に設置した。コンクリートで基礎を打ってから、その基礎にステンレスのボルトで固定した。ギャラリー・ユマニテでの個展で発表した私の思いがスコットランドの風景の中で、それなりに収まっているのを見ると不思議な気分になる。
石の人型にマトリクス状に穴が貫通して、方向によっては透けて向こうの風景が見える。風景の中で朧気な存在として、背後の風景を透視させながら、個としての人の思い・塊としての石の思いに耽るのだ。なんちゃって、まるで流行りの雑誌の記事のようだから、彫刻のベースコンセプトは敢えて明かさない。Forest H1 & 2 in Borders Sculpture park
来年春には多くの彫刻やアートワークが出そろって、オープニング記念展が始まる。屋内でも多くの展示スペースがあるから、美術館的な役割も果たすのではないかと思っている。
日本からはちょっと遠いけど、近くに行かれた折には是非立ち寄って頂きたい空間だ。


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